塾の日ごはん食育対談 & 食育動画塾だからこそ食育を!

動画教材「塾の日ごはん」※画像のクリックで動画へ移動します。

 昨年、ALCS熊谷校のご協力により開催された「食育講座」の様子が「月刊 私塾界」で紹介されると、全国の学習塾から予想を超える反響とともに、出張講座のご要望を数多くいただきました。しかし、時を同じくして社会に広がりはじめたコロナ禍により、残念ながら、こうしたお声に応えることは難しくなってしまいました。
 今回、"和"食文化推進協議会では、入念な感染症対策の下、昨年に大きな賛同の声をあげてくださった「のびのび学習教室」長原塾長をお招きし、塾の子供たちの「食」について、「塾の日ごはん」の監修者である相模女子大学の吉岡教授とご対談いただいたほか、食育講座へのご要望にお応えするため、オンランインでご自由にお使いいただける動画版「塾の日ごはん」を制作し、公開いたしました。

塾だからこそ食育を!

のびのび学習教室の食育の取り組み

東京都練馬区にあるのびのび学習教室は、学習だけでなく、食育にも力を入れている学習塾だ。塾長の長原糸惠氏は、学業に対する食の影響は大きいと考える。今回は、塾における食の大切さについて、長原氏と相模女子大学栄養科学部管理栄養学科教授の吉岡有紀子氏と語っていただいた。

通塾には朝食が必須

長原塾長と吉岡教授
のびのび学習教室の長原糸惠塾長(左)と相模女子大学栄養科学部管理栄養学科の吉岡有紀子教授(右)

──長原先生は、塾を長年やられている中で、朝食に注目されています。

長原 のびのび学習教室では、『朝ごはんを食べてくること』を成績アップの日常生活12ヶ条の第一条にしています。加えて、『プランノート』というノートを塾生一人ずつに持たせていて、朝ごはんは何を食べたかをそれに書いてもらっています。
 講習期間中は、昼食と夕食用に家からお弁当を持ってきてもらって、授業中は塾の冷蔵庫に入れてもらっています。

吉岡 素晴らしいですね。食べた朝食をノートに書いてくる。これは、セルフモニタリングと言って、栄養教育の技法の一つですごくいいことです。自分のやったことを客観的に見つめるというセルフモニタリングをし続けると、最後は自己強化ができる力がつくと言われています。

長原 ノートに書かせないと、親御さんが用意してくれないんです。塾は子供だけでなく、親の教育の面もありますね。ただ、親御さんはお弁当に入れるものは悩むみたいです。お弁当の中身を見ると8割が冷凍食品です。それでいいんでしょうか?

吉岡 冷凍食品が問題ではなく何を詰め合わせるか。一食にご飯などの主食、肉や魚などの主菜、野菜や海藻などの副菜を揃えることで栄養素のバランスが整いますが、理想と現実の中で、家庭ごとに目指すところをお伝えしながら、どこからなら取り組めるか、具体的な提案をする。副菜は全部手作りじゃなきゃだめです、と言って、とてもわが家ではできないって思われるより、冷凍でもいいからまず入れてもらうぐらいでいいんじゃないでしょうか。

──朝食の意味や意義はどういったものがあるのでしょうか?

吉岡 朝食は、一日全てのスタートのスイッチだと思います。身体の内面のスイッチでもあるし、人とのコミュニケーションのスイッチでもあります。「一口でも食べて行ったらどう?」「今日は時間がないから食べられないよ」「一口だけ!」といったように、朝食をきっかけに会話が始まり、スイッチがオンになる。
 また、朝起きて食べるという行動をすることで、自ら主体的に行動を起こすスイッチになりますし、食べたものを代謝するスイッチにもなります。

長原 なるほど! スイッチ、切り替えですね。栄養学的にはどうなんですか?

吉岡 栄養学的に言うと、脳のエネルギー源のブドウ糖がどうしても朝は枯渇しがちです。ブドウ糖はご飯などの炭水化物に含まれます。朝食を食べないと脳がエネルギーのない状態でスタートするので、ボーッとする。朝食を食べることで、脳にエネルギーが入り、体温も上がってきます。体温が上がってくると不定愁訴(身体の不調や不快感につながる明らかな病変が見つからない状態)も減ります。
 朝食を食べているから成績が上がるというよりも、朝食を日常的に食べる生活ができているから全体がうまく回るわけですね。

塾生が毎日自分の弁当を作る

──のびのび学習教室は、生徒に冬期講習期間中、毎日自分でお弁当を作ることを課していますよね?

おにぎらず
●おにぎらず 塾の休み時間にパワーチャージ
ごはんスティックストック
●ごはんスティックストック 塾に行く前にエネルギー補給

吉岡 塾生が自分で毎日作ってくるんですか? すごいですね‼

長原 そうです。親のありがたみも知ることができますし。ちゃんとやってきたのは小学生も中学生も男の子で、一番上手なのは小五の男の子です。みんなのお弁当の写真を撮ってあげて、冬期講習が終わったときにアルバムにして渡してあげます。お弁当作りは楽しいみたいですよ。昨年応募して送っていただいた型を使って『おにぎらず』を作ってくる子もいるんです。好きな具などいろいろな具材を入れたり、栄養バランスを考えたりしながら、且つ、簡単にできて、あの型はよくできた道具だと思います。

──のびのび学習教室の普段は夕食時間を設定していないそうですが、今後、設置しようと計画されていると聞きました。

長原 今、レンタルデスクという取組みをやっているんです。生徒が、年間でいつでも使える専用デスクです。利用する際は、お弁当を持ってきてもらおうと思ったのですが、高校生だと、大体19時に入って22時に帰るのでそれは無理がある。だから4月からは、塾で簡単なチキンライスなどを作って無料で出そうという話が出ています。

吉岡 とてもいいと思います。19時から22時の間に、お腹が空かないわけがない。塾の前にごはんスティックストックなどでエネルギー補給してもいいですね。食事の提供の際には、子供たちに「みんなが元気にパワーアップするためには主食、主菜、副菜が揃うといいよ。でも塾では主食主菜型の料理になるから、副菜をおうちで用意してもらってね」と一言言ってあげるといいかもしれません。おうちで副菜をちょっと用意してもらえば、塾に通っている受験期だからこその主食、主菜、副菜の揃った食事になります。また、おうちに帰ったあとも、2時間ぐらい勉強して寝ると胃が空になって熟睡できて、朝の目覚めがよくなる。とてもいい循環を塾で作り出せると思います。

対談を終えた長原塾長と吉岡教授
対談を終えて

長原 塾から帰って、22時から夕飯を食べると、1時、2時に寝ることになり、ちょっとこれは改善してあげないといけないかなと思ったのがきっかけです。

吉岡 そこまで塾で考えていただけたら嬉しいですね。うちの子ものびのび学習教室に通わせていただきたかった!私も塾に通わせていた時の食事は悩みましたから。
 今は、ご両親が働いていらして、家族の共食が難しくなってきています。大好きな仲間や先生と同じ料理を一緒に食べられる時間が受験期にあるのは、すごく心の支えになると思います。ぜひ続けていただきたいです!

2021年4月1日 月刊「私塾界」掲載

食育動画教材「塾の日ごはん」ができました!

※食育教材「塾の日ごはん」の動画版です。食育セミナーや説明会、各種イベントにご活用ください!(16分35秒)

制作:“和”食文化推進協議会
(構成団体)公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
海苔で健康推進委員会
構成・監修:吉岡有紀子(相模女子大学 栄養科学部 管理栄養学科教授・管理栄養士・博士(栄養学))
協力:月刊私塾界(全国私塾情報センター)

※本教材の対象は小学5年生〜中学3年生とその保護者を想定しています。

塾の日ごはん教材セット

「塾の日ごはん」小冊子と「おにぎらず」・「ごはんスティックストック」用の型枠についてはこちらをご覧ください。

(主な仕様)
・小冊子 A6カラー16ページ
・ご飯型 ポリプロピレン(日本製)